足が動かなかった日 〜旅先で出会った“見えない壁”
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昔ながらの商店街を歩いて
旅先で、私は昔ながらの商店街をひとりぶらぶらと歩いていました。
どこか懐かしい雰囲気が漂い、気ままに足を進めていると、ふと骨董品屋が目に留まりました。
古びた木製の看板と、少しくすんだガラス窓。
覗き込むと、暗い店内の奥に老人がじっとこちらを見つめて座っているのが見えました。
一歩も動けなくなった理由
その視線に一瞬、ゾクリとしました。
「ちょっと怖い?」
そう思ったものの、気のせいだろうとすぐに打ち消し、古いドアを開けることにしました。
けれど、奇妙なことが起きたのです。
ドアを開けたいのに、私は一歩も店内に入ることができません。
身体も足も、まるで見えない壁に阻まれているかのように前へ進まないのです。
何かに引き止められているような感覚。
「これは危ないな…」
ふいにそう感じ、私はすぐに店を後にしました。
見えない守り手
旅の途中でふと立ち寄った店なのに、まるで“入ってはいけない場所”だと身体が拒絶したかのようでした。
見えない何かが私を守ってくれたのかもしれません。
あの日のことを思い返すと、今でも少し背筋がひんやりとします。
感覚が教えてくれること
私たちは時に、言葉では説明できない“感覚”を通して守られているのかもしれません。
あの日、足が動かなかったことは、
私にとって見えない存在からの警告だったのかもしれないと、今ではそっと感謝しています。